04.25.21:53
[PR]
06.14.16:11
叶わなかった夢
小学生ぐらいの自分の後ろからそっと腕が伸びて来て…振り返ったら、それは母さんの腕だった。
そのまま母さんは何も言わずに小さい自分を抱き締めて……きっと俺は泣いてたんだろうな、目を覚ましたら泣いてた。
布団の暖かさとは違う暖かさが確かにその時はあって、懐かしくて、悲しくて、嬉しくて、虚しくて。
だって、これは思い出じゃなくて願いだって気付いたから。
一番、甘えたかった時期に甘えられなかった。
幾ら願ったって時間は戻らない。だから、これはもう二度と叶わない願い。
10年間、胸の中のずっと奥にしまったままにしてた願いだったから。
その間にいつの間にか鋭く尖って自分を突き刺して、傷つけてた。
甘えたい願いも。
助けを求める叫びも。
全部、押し殺してた。
一番苦しかっただろう母さんに、必死に戦ってた兄貴達に、「俺」っていう新しい心配や負担をかけたくなかった。
でもやっぱり、ずっと隠してた本音に気づいたら黙っていられないよ。
何処にも居場所が無かった時、夢の中のように抱き締めて欲しかった。
一言でいい。
「頑張ったね」
って、言って欲しかった。
もう20歳に、大人なった俺だから。
多分、小学生、中学生の頃のように甘える事はできないと思うから…優しかった夢と一緒に、この気持ちはまたしまっておく。
―ー少しだけ、息をするのが軽くなった気がするな。
PR
- トラックバックURLはこちら